EthernetーI/F付き付属基板の本
組み込みソフトウエアの勉強にいくつかよい本はあるが、組み込みソフトウエアを学ぼうと考える初学者にとって、基板の自作は少し敷居が高い。そこで、基板付きの本と併用する方法もある、ということを前回書いた。前回紹介した。PICマイコン・スタートアップ[dsPIC基板付き]で使っているdsPICは、組み込みCPUの中でも、いわゆるマイクロコントローラ系に属するCPUで、豊富な周辺回路を内蔵しているが、ROM・RAM容量は小さく、あまり大きなプログラムは作れない。家電などに入っている組み込みのCPUもこのマイクロコントローラ系で、組み込みCPUとしては主流派だ。
しかし、組み込みのもう一つの流れとして、インターネットに接続できるような高機能CPUの流れもある。こちらの方を勉強するには、dsPICでは役不足である。
CQ出版は、基板付き雑誌や本を何冊も出しているが、その基板単体でEthernetが使えるものは意外にない。最近発刊されたすぐにつながるEthernetマイコン・モジュールがその数少ないEthernetーI/Fを有する基板を付属した本である。ただ、この本は少し癖がある。
まずパルストランス付きRJ-45コネクタを別途手配して基板に半田付けする必要がある。半田付けは別に難しくないが、ここで使っているパルストランス付きRJ-45コネクタは、あまりメジャーではないので、どこでも手に入るというわけではない(私は通販で入手した)。この本は、Interface 2008年9月号の特集記事を、Ethernet付きのColdFire基板とCD-ROMを含め本にしたもので、このパルストランス付きRJ-45コネクタについては当時から評判が悪かった。本にするときには、パルストランス付きRJ-45コネクタも基板に実装してくれればよかったのに、と思う。
次に、ソフトウエア環境として、SilentCというCインタプリタが使われてる。いろいろソフトを書いてすぐに試せるという意味ではインタプリタというのはいい環境である。一方で、この環境で勉強した技術がそのまま実務で使えるかというと、通常インタプリタ環境でソフト開発したもので製品化することはないので、この環境はあくまで勉強用と割り切る必要がある。
EthernetーI/F付き基板で勉強したい項目の1つは、ネットワークプログラミングであろう。実は、Interface 2008年 10月号
には、本基板を用いて、GCCやμITRONでTCP/IPスタックを使うという記事が掲載されていた。この記事も含めて本にしてくれればよかったのだが、残念ながらそうはなっていない。Amazonのマーケットプレイスでも扱っているし、interfeceの記事を1年分CD-ROMに収容したInterface CD-ROM版でも読むことが出来るので参考にすればいいと思う。
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