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2011年5月26日 (木)

想定外をどう対処するか:人間の想定は必ず間違う

 今回の原発の失敗の原因の一つは「想定」を誤ったことであると前回書いた。今回は想定外をどう扱うかについて考えてみたい。
 機械や設備を設計するときには、どの範囲で正常動作させるのかの条件を設定する必要がある。たとえば、温度条件である。IT機器では空調付きの部屋で使うことが想定させるので、0℃~40℃というのが普通だろう。もっと範囲が狭いこともある。しかし、自動車のダッシュボードに置くような機器だと直射日光があたるので、70℃とか80℃とかいう温度まで動く必要がある。でも人間の生活範囲で使う機器で100℃を超えるようなところで正常動作する必要はない。これが、正常動作に関する「想定」の範囲だ。
 ところが、では絶対に100℃を超えることがないかといえば、そんなことはないだろう。火事に遭えば、そんな温度はあっという間に超える。では、その想定外については何も考えなくてもいいのかといいうとそうではない。
 安全性を考える必要がある。たとえば、たばこの炎に対し壊れてもいいが、たばこの炎で燃出して火事になるのは避けたいという考えがある。このため、使うべき材料の難燃性を設計時に考慮する。
 30年以上経った扇風機が燃えるという故障も、製品寿命の想定を超えたのだ。そのときに壊れてもいいが燃えない設計を考える必要がある。たとえば、20年で故障してしまえばいいのだ。30年使えても燃える扇風機より、燃えないが20年以上経ったら必ず故障する扇風機とどちらがいいかといえば後者だろう。
 今回の原子炉だってそうだ。想定外のことが起こったら、壊れてもいいのだ。ただし、その時に、放射線漏れだけは起こさないような壊れ方を設計にもりこむべきだったのであろう。人間の想定なんかは必ず間違う。想定外のことが起きる。そして、その想定外を考える人間の想像力にも限りがある。設計の現場にいると、人間の考えることの限界を常に意識する。現場で起きる事象は、人間の想像力を超えるのである。
 だからといって、想定外のことに対する安全対策をあきらめてはいけないと思う。想定外の事象に対して設計はどのように対処すべきなのか、ということも、重要な技術の課題であろう。

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