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2011年5月31日 (火)

最小コスト回避者という考え方:欠陥ソフトウエアの経済学

 前回に引き続き、欠陥ソフトウェアの経済学 ―その高すぎる代償―について考えたことを書いてみたい。
 この本に最小コスト回避者という考え方が紹介されている。最小限のコストで事故を回避できるものが、その責任を負うべきである、という考え方である。
 動物園を例にすると、虎に対して、動物園と入場者のどちらが安全に虎を見るための予防処置にコストを負担するのか、ということである。頑丈な虎の檻が200万ドル、または、入場者が2000ドルの虎用防御スーツを買うかどちらを選択するかという問題について考える。檻は一見高いが、入場者の入園料20ドルを21ドルに値上げすることで回収できるとすれば、動物園が最小コスト回避者である、という考え方である。
 ソフトウエアに関してこの考えを適用すれば、ソフトウエアのセキュリティホールをパッチでふさぐために、ユーザー企業がかなりの出費をしている。2004年のヤンキーグループの調査では、パッチはパソコン1台あたり254ドルの出費になっているという。確かに、これだけみれば、ソフトウエアベンダが最小コスト回避者であるように見える。
 問題は、品質を上げるためには、コストと納期が必要である、ということである。家電などでは、1年間の無償修理が当たり前なので、あまりひどい品質では出荷できない。無償修理が続出すると大損だからだ。でもソフトウエアは基本的に売りっぱなしなので、品質をあげようというインセンティブが働かない。家電の無償修理の仕組みのように、何らかの品質向上のインセンティブを上げる方法を考えないといけないのだろう。
 この本の主張の一つは、結局、品質向上に必要なのは、インセンティブであり、どのようにして、それを構築するかということである。

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