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2011年6月12日 (日)

技術の継続性:どう技術を残していくか

 組み込み技術の継承に関して、前回少し考えてみた。技術の継承については、いろんな話を聞いたり、本を読んだりする都度、考えさせられることの多い課題である。金属工芸に関する特別展があって、そこで考えたことを書いたこともある
 昔、聞いた笑い話を思い出した。あるハードの開発でノイズでトラブルが起きた。でも現場の技術者の誰も対応できない。技術部長がかんかんになって、誰でもいいからわかる人間を連れてこい、と厳命した。そこで出てきたのは、今や取締役になっているかつての上司だった、という笑い話である。この手の技術者が払拭してしまっていることを象徴する話で、10年以上も前に聞いたことのある話である(実話かどうかはあやしいが)。
 しかし、実話として、かつてのエース級のOB技術者を課長として現場復帰させたという話が、日経ビジネス1/10号に載っていた。三菱重工業でジェット旅客機MRJの開発をしているのだが、飛行機の開発というのは技術の集大成である。経験のない現場では荷が重い。64歳のOBを課長級として現場復帰させたというのである。開発の現場において、課長はキーマンであり、かつ激務である。本当は体力のある40歳台が最もふさわしいポジションだが、経験がないとできないのであろう。
 技術は、理屈だけではない。なぜなら設計は分析ではなく、統合だからだ。その統合の過程はトレードオフのかたまりである。理屈だけでわかる世界ではない。そこに投入できる人材は、現場の中でしか育たない。
 そして、いくら育てても、その技術者を大事にして、次に継承させる仕組みや、経営判断がないと技術は途絶えるのだろう。この三菱重工の例のように、OBがいる間はいいが、誰もいなくなったらどうしようもなくなる。システム開発もその危機があると言われている。銀行システムのような大型システムを1からやったことのある人材が既に現場からいなくなっているのである。1からの構築と、今あるものの改良との差は、全く次元の異なる差である。
 伊勢神宮が20年に一度作りかえられるのは、20年以上時間をあけると技術の伝承が出来ないからである、という説もある。日本の国は、こうした形で重要な技術を伝承させる仕組みを作ってきたのである。我々の世代も新しい技術の伝承の仕組みを考えないといけない。

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