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2011年6月11日 (土)

組み込み技術の継承とソフトウエア技術の進歩の関係

 技術の継続性とは何か、ということを考えることがある。若い頃にはそんなことは考えたことがなかった。たぶん、年をとったからだろう。平均年齢50歳という年齢構成の5人で飲みに行ったときの話で、盛んにこのあたりが話題になった。どうも、組み込み技術者の質が落ちているみたいだ、という話になったのである。
 技術全体が落ちているとは思わない。昔に比べ、はるかに複雑な組み込み機器が開発されている。昔のアセンブラだけの開発環境では絶対に実現できないレベルに達していることは事実である。しかし、それは、OSの上で動くソフトウエア技術について、PCの世界で発達した技術を組み込み技術に取り入れて発達してきたのである。
 つまり組み込み機器上でのソフトウエア開発技術が進歩しただけで、組み込み技術そのものが進歩した訳ではなさそうだ、ということである。ドライバの世界では今でも昔と同じような話が起きている。割り込み禁止のミスとかの話である。
 前に書いたように、ハード密着型の技術者は今やセットメーカーにはいらないのかも、という仮説を話ししたら、でも現場の問題は、今でもハードがらみのところで出ているという例が続出した。特に、ハード技術者とソフト技術者とがはっきりと専門が分かれてしまったために、どちらもわかる技術者がいなくなって、結果として、その境目で起きる問題が、現場の問題を長期化したり、深刻化したりしている、という話である。
 確かに、そもそも組み込み技術者に興味を持つ技術者が減少している。しかも、その貴重な組み込み技術者もあくまでソフトウエア技術者であって、オシロで波形を見ながらデバッグするということはできないのである。だいたい、組み込み屋が最近は自分の事務机でコードを書いて、その横に開発ボードを置いてデバックしている。オシロやロジアナのプローブがいっぱいついた基板で、ハンダごてを片手に実験室でデバックしている光景は今や見かけることはない。これでは、ロジックの問題はわかっても、リアルタイムの問題はわからないだろう。
 本当にこんな泥臭い技術が不要になるのであれば、そんな技術者をセットメーカーがかかえる必要はない。でも、まだ技術はそこまでは進歩していない。そこまでいきついてはいないが、その方向に進んでいることは確かだ。なので、その手の技術者を多く抱える必要はない程度には技術は進歩した。だが、全く不要になるほどは進歩していない、というのが現状なのではないか。
 こうした、多くの技術者は必要ではないが、でも不要にはならない技術を、どのように保有していくかが重要な課題なのだと思う。

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