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2011年9月13日 (火)

製品としてのソフトウエア開発の仕様変更の工数の本質をついたエッセイ:BEST SOFTWARE WRITINGより

 製品開発というのは多くの部署の多くの人間がかかわってできあがるものである。ハードウエアは、開発そのものに時間がかかるので、できあがった製品の仕様変更はめったなことではやらない。また、特定のユーザーからの要望に対しても、数がでなければ、開発費をもらったりして、できる限り派生開発をないようにコントロールする。
 ところが、ソフトウエアというものは、ちょっとした仕様追加が簡単にできてしまうので、結構派生開発があったりする。ハードウエアに関する仕様追加、仕様変更は極力避けようとするのに、ソフトウエアに関しては、大口顧客の要望を営業が受けてきて、大変な目に遭った開発者も多いことだろう。
 でも、一見簡単な仕様追加がどれだけのコストに跳ね返るか、ということをおもしろおかしく書いたエッセイがある。BEST SOFTWARE WRITINGという本に収録されている「電球を替えるのにMicrosoft社員は何人必要か」というエッセイだ。
 題名はわかりにくいが、VBScrptの機能追加要求のメールがよくある、という話からスタートする。そのメールには、5行くらいコードを追加すれば済む程度の追加なので、やって欲しい、となる。要求側は、5分程度の仕事じゃないか、というつもりで要求するのだ。
 ところが、これを製品として実現しようとすると大変なことになる。
・1人のプログラマが5分かけて実装する。
・1人のプログラムマネージャが、その仕様をかく。
・1人の国際化の専門家が、ローカライゼーション上の問題がないか仕様をレビューする。
・少なくとも1人のプログラマと1人のテスタと1人のPMが、セキュリティ上の脆弱性に関してブレーンストーミングする。
 こうした、項目が延々16項目リストアップされ、やっと製品に仕様追加されるのである。
 これは誇張だろうか?もちろん、デフォルメされすぎているきらいはあるが、実際には、ちょっとした変更でも、製品にするには大変だということは確かである。
 私がかつて経験したことだが、ある組み込み機器製品の開発リーダーをしていた時のことである。製品出荷間際になって、あるバグが見つかり、それを回避するためには、初期起動時の機器の一斉点灯時間に関する仕様を変更しなければならなくなった。それを製品責任者に了解を得にいったら思いっきり怒られたのだ。まだ若い技術者であった私は、基本機能ならともかく、LEDのちょっとした仕様変更くらい、という気持ちがあったので、それを見透かされていたのだと思う。
 製品出荷間際と言うことは、マニュアルは既に印刷所で印刷されているかもしれない。この製品を売る営業マンへの説明会も終わっているだろう。工場での出荷検査手順書も既にできているはずだ。開発から見たら、ちょっとした変更と思っているかもしれないが、その影響の範囲は、お前が思っているより大きいんだ、というわけである。この時には、結局仕様変更を認めてもらったが、この時に怒られたことは、その後の開発者人生で大きな影響を受けた。後輩技術者にも伝えるべきことの一つであるとおもう。

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