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2011年10月14日 (金)

ありそうでなかったハード設計からの組み込みシステム全般の入門書:FPGA ボードで学ぶ組込みシステム開発入門

 組み込みXXXという言葉で、XXXに何が入るかというと大抵の場合、ソフトウエアであると思う。そのくらい、組み込み分野でのソフトウエアの重要性は認識されてきている。私は、組み込み技術者を自称している。組み込みソフトウエア技術者ではない。組み込み技術というのは、ソフトウエアだけでも、ハードウエアだけでも成り立つ技術ではなく、その複合技術だ。
 複合技術だということは、組み込み技術全般を習得するには、ソフトウエアから勉強する場合と、ハードウエアから勉強する場合の2通りがあるということだ(システムから入るというアプローチもあり得るが、実際には難しいと思うので、ここでは2通りということに限定する)。
 ソフトウエアを中心に組み込みシステムを勉強できる本は多い。マイコンを実装した基板が容易に手に入るので、昔のようにまずハードウエアを作って、ということではなくなったということと、大抵の周辺機器I/F回路がマイコンチップに内蔵されて、ハードウエアそのものを必要とする領域が減っていることが、ソフトウエア中心の本が多い原因ではないかと思う。この風潮は、専用LSIでも作らない限り、一般には組み込みシステムの開発費のほとんどがソフトウエア開発費であるという現状から考えてもうなずける。
 一方で、組み込み技術はソフトウエアだけで成り立つわけではないことも確かである。ハードウエア技術者も、組み込み技術全般を身につけておく必要がある。ソフトウエアを知らずにハードウエアは設計できない。ところが、意外にハードウエアから組み込みシステムへアプローチする本が最近出版されていないのも事実だ、
 FPGA ボードで学ぶ組込みシステム開発入門 ~Altera編~という本は、最近めずらしいハードウエアから組み込みシステムへアプローチする本である。ワンチップマイコンを使うのではなく、FPGAに内蔵できるCPUであるNios IIプロセッサを中心として、周辺機器I/F回路をFPGA上に実装するという、いわばワンチップマイコンの中身を設計するというアプローチで解説された本で、なかなか興味深い。特に、初学者には難しいSDRAMのI/F回路について1章をさいて説明しているのは素晴らしい。最終的には、このNios IIプロセッサ上へ、μC Linuxを実装する方法まで解説する。
 この本の表紙には、想定読者として「PICマイコンなどの経験がありもう一歩踏み込んでみたい技術者」、目標としては、「ハードウエア・ソフトウエアを含めて組み込み技術全般を習得」ということが明記されている。中身を観るとポイントをおさえた解説になっているので、まさに、FPGAというハードウエアから入り、ハードウエア・ソフトウエアを含めて組み込み技術全般を習得できる本に仕上がっている。
 初級技術者から中級技術者へ脱皮したい組み込みハードウエア技術者におすすめである。組み込みソフトウエアについては中級技術者で、もう少しハードウエアのことも勉強したい技術者にもおすすめである。ただ、さすがに広範囲の技術を扱っているので、1つ1つの説明は少し物足りないところもあるので、読み通すには少し根気が必要かもしれない。

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コメント

好意的な紹介ありがとうございます。

「ハードウエアから組み込みシステムへアプローチする本」という見方は、書いた本人も気づきませんでした。確かにそういう見方があるものだと感心しております。私自身がハード屋なものですから、必然的にハードウェアからのアプローチになってしまいました。

雑誌のFPGA特集などで内蔵CPUの紹介はあっても、これにユーザー回路を接続して制御する方法が知る限り全く書かれていませんでした。FPGAボードをいじりはじめた頃は、いろいろ苦労しました。執筆される方も、ハードとソフトの境界をまたげていないのでしょうか。

知人の読者も、「これは初級者にはむずかしいかもしれないね」という感想でした。ページが許せばもっと書けたのですが、¥5,000を超えるような本はだれも買ってくれないので、ご勘弁ください。

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