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2011年11月14日 (月)

複雑さの増大とハザード:セーフウエアより

 原発事故を契機として、安全がクローズアップされている間に、技術者の間で安全にカネをかけることの意義を普及させる必要があると思っている。そのためには、まず、技術者が安全というものに対して時間をかけて勉強する必要がある。そのための、一つの教材がセーフウェア 安全・安心なシステムとソフトウェアを目指してである。この本については、前にも書いたことがある。
 この本は決して読みやすい本ではない。そもそも、恐ろしく分厚い本であり、翻訳特有の読みにくさもある。でも、総論の部分を読むだけでも、安全なシステムを設計することの難しさを痛感するはずだ。
 現在のシステムで安全を脅かすハザードの原因となっているものの一つが複雑さだという。複雑さは、新たなハザードを生み出すだけでなく、それらを識別することも困難にしている、と指摘する。つまり、複雑さが増えることによって新しいハザードが増える。しかし、どんなハザードが増えたかということは、複雑さのあまり人間には理解できないのである。これが、システムの持つリスクの中で最も根本的な問題である。システムというのは、コンポーネントの集合体であるが、そのコンポーネントが密結合し、相互作用を起こすことで、本当に複雑なハザードが起きるのである。コンポーネントそのものは仕様通り動き、故障していなくても、そのコンポーネントの集合体としては、設計時に全く想定していなかった相互作用が起き、ハザードに至る。
 また、あるシステムは運用が複雑になり、オペレータが正常と異常とを区別できなくなることがある。コンピュータの処理能力はどんどん増加しているが、人間の処理能力には限りがあり、複雑な運用はハザードを生み出す。
 しかも、複雑なシステムは、設計時に多くの人間がかかわることになる。このプロジェクト管理そのものの複雑さが、そもそもの設計での抜け漏れが起きるのである。
 そして、この複雑なシステムを大規模に使うことによって、ハザードが引き起こす災害を大きくしてしまう。
 いかにして、人間が制御可能な範囲まで単純化できるか、というのが重要である、ということが、この本で繰り返し出てくる話である。これは全くその通りである。そして、最も守られていないことであろう。
 まずは、複雑さのもたらす弊害を正しく理解することからスタートする必要があると、この本は言っているのだと思う。

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