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2011年11月20日 (日)

いろんなアーキテクチャ:アーキテクチャの生態系を読んで

 アーキテクチャというのは、いろんな意味がある。私のような情報工学出身の人間にとってのアーキテクチャは、前にも書いたが、まずはフォンノイマンアーキテクチャである。いまだに、CPUアーキテクチャというのはCPUにおいて重要な設計要素である。もう一つは、ソフトウエアパターンをめぐるソフトウエアアーキテクチャという言葉であろう。これも、以前書いたことがある。
 つい先日、アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたかという本を、遅ればせながら読んだ。3年ほど前に出版されて、当時かなり話題になった本である。なんとなく積ん読したままだったのだが、読み出したら面白くて一気に読んでしまった。インターネットの変化は激しく、たった3年前の本でも、内容が少し古ぼけて読めてしまう内容もある。
 この本で書かれているアーキテクチャは、フォンノイマンアーキテクチャともソフトウエアアーキテクチャとも少し異なる。この本で書かれているアーキテクチャの概念は、米国の憲法学者トーマス・レッシングという人がCODEという本の中で展開した考え方らしい。中身の詳しいことはともかく、このインターネット社会におけるアーキテクチャの特徴は以下の2つであるという。
・任意の行為の可能性を「物理的」に封じてしまうため、ルールや価値観を被規制者の側に内面化させるプロセスを必要としない
・その規制(者)の存在を気づかせることなく、被規制者が「無意識」のうちに規制を働きかけることが可能
 グーグルやSNSは、情報社会におけるアーキテクチャであり、このアーキテクチャが社会にどのような影響を与えるか、という観点で考察した本だ。この本の内容を云々できるだけの社会的知見は私には皆無なので、内容については本書を読んでもらうしかない。
 この本を読みながら思ったのは、アーキテクチャというのは、いろんな意味があるんだなあ、ということである。この本でいうアーキテクチャというのは、技術屋的にはプラットフォームというのに近い気がする。
 もう一つは、異なる観点を読むことで、自分の仕事で使っているアーキテクチャという意味をもう一度考えてみる機会になることだ。アーキテクチャというのは、技術の世界においてもある意味、規制である。別にそう意図したわけでもないが、そのアーキテクチャで考えると言うことは、その規制の枠で設計するということである。そして、その規制(者)の存在を気づかせることなく、被規制者が「無意識」のうちに規制を働きかけることが可能、というのも当たっている。別にデザインパターンは、そういう意図で作られたわけではないのだろうが、一旦確立してしまうと無意識のうちにその設計の枠に収まってしまうものだ。
 開発において、それは悪いことではない。複数の開発者で開発するときには、むしろ、そうした規制が暗黙のうちに働いておいた方が、都合のいいことが多い。しかし、自分の使っているアーキテクチャというものが、自分の思考を制御する枠組みでもあることは理解しておいた方がよさそうだ。

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