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2012年1月 6日 (金)

開発の現場から:日本のキャリアパスではエース級人材のノウハウが伝承されない

 日本のキャリアパスは管理職志向である、ということはよく言われている話だ。管理職にならないと給料があがらない仕組みになっている。いくら現場で、神様のように思われている技術者がいても、課長にならないと給料は上がらない。そして、課長になると現場を離れることになる。最近では、課長といえどもプレイングマネージャが多いので、管理だけをやっていることは少ないだろうが、でも100%現場の仕事はできない。もっと、現場の仕事を認めるべきだ、という意見があり、私もこのことに全く同意だ。
 ところが、このキャリアパスには、もう一つの弊害があると思う。エース級で活躍した人間は、早くから認められて管理職になって、現場を離れていく。一方で、そうでない人間は、いつまでも現場にいる。それでも、それなりに長い時間現場にいるので、若手よりは技術力もあるので、現場のリーダー格として現場に残ってしまう。
 こういう現場の若手は、エース級の背中を見て育つよりも、そうでない人間の背中を見て育ってしまうのである。技術開発の現場では、言語化できないノウハウ・スキルの類いは良き先輩の背中を見て育つしかないのだが、その背中がさっさと背中ではなくなり、管理職になってしまうのだ。
 エース級がさっさと現場を離れてしまうという問題よりも、エース級の背中を見て次のエース級を育てるという循環が断ち切られてしまう、という方が問題かもしれない。あいかわらず、私が現場の技術者だったころの失敗を繰り返している現場の実情を見て、そう思った。やはり、専門職としての処遇は、技術開発の現場では非常に重要だと思う。日本IBMでPMとして役員まで上り詰めた冨永氏のような処遇をいろんな企業でやっていくべきだろう。記者の眼という記事の一部を引用する。

 冨永氏はSE(システムズエンジニア)出身でありながら日本IBMの専務まで務め、“ミスターPM(プロジェクトマネジメントあるいはプロジェクトマネジャ)”と呼ばれた。日本IBMの社長・会長を歴任した北城恪太郎氏が「社長時代の功績は冨永を役員にしたこと」と振り返るほどの人物である。

 この記事を読んだとき冨永氏もすごいが、日本IBMも大した会社だと思ったものである。PMという専門職で役員にするというのはすごいことだ。今後、技術系の会社では真剣に考えるべきことだろう。

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