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2012年8月 8日 (水)

情報処理誌の「京」特集は面白い:スーパーコンピュータというのはCPUだけでなくラックや建物を含めたものなんだ

 前回に続けて、情報処理2012年08月号のスーパーコンピュータ「京」特集で面白かったことについて書く。
 この特集の特長は、CPU関連の技術だけでなく、ラックとか京を設置する建物とかまでを解説してあることである。つまり京というスーパーコンピュータを成立させている技術の全容がわかるようになっている。
 CPU関連の設計技術以外で、最も重要な技術は当然冷却技術である。これも以前書いたことがあるが、スーパーコンピュータの設計には実は冷却技術が重要である。かつてスーパーコンピュータの代名詞であったCrayでは、フロン冷却システムが使われていた。京では、水冷と空冷を使っているらしいが、驚くのはCPUのジャンクション温度を30℃で使っているということだ。普通ジャンクション温度って85℃だろう・・・。よく知られた経験則で、10℃の温度低下で寿命は倍になるので、この冷却技術で通常の数十倍の寿命を確保できるという設計だそうだ。
 もう一つ驚いたのが、建物である。なるほど、京は筐体が864台も並ぶ装置である。地震で倒壊しては何もならない。筐体1台で1.5tもある、となると、そりゃあ、建物の設計は重要だ。こんな重い筐体をどう支えるかという話があると同時に、筐体間を接続するケーブル長を同じにしないと、遅延がばらついて性能劣化につながる。だから、建物には柱は設けない、というのは、徹底している。
 その他にも、ラック間の差動信号のポジネガ間スキューは30ps/10mという、聞いたこともない品質だったり、組み込み技術者の私から見ると驚愕の技術のかたまりだ。
 京の技術は、私のような技術者には全く縁のない、はるかに高度な技術の話である。しかし、技術者というのは、自分の専門分野の技術の最高レベルがどんなものであるかを知っておくことは、決して意味のないことではないと思う。

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