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2013年11月 1日 (金)

組み込み系に不足しているホワイトハット・ハッカー

 前にも書いたようにセキュリティ関連の実装は今後の組み込みのキー技術になってしまっている。こんな状況が良いはずもないが仕方ない。製品開発に携わる技術者のセキュリティに関する意識、技術力は、世の中の水準から比べると随分低いはずだ。それでも、組み込み関係でセキュリティがあまり大きく問題になっていないのは、組み込みの世界でハッキングしたところで儲からないからであろう。どこそこの会社からカード情報や個人情報が流出した、という報道が頻繁になり、昔は1面トップ扱いであったこの手のニュースがあまりさわがれないようにまでなってきている。ネット経由でのこうした犯罪行為は、今や普通の犯罪と同じくらいの頻度で起きてしまっているということであろう。
 一方で、産業機器の分野での組み込み機器へのハッキングは重大な話である。これは、金儲けではなく、テロ行為目的という命にかかわるような話につながるからである。私の開発している機器は、インフラにも使われていないし、ハッキングしたところで金が儲かるような分野でもないが、自分の開発した機器が踏み台になる可能性はあるので、何とか業界水準の対策はしておきたいと思っている。
 そうした技術開発に必要なのが、ホワイトハット・ハッカーという善意のハッカーである。“埋め込み”系システムを極めようとしたホワイトハット・ハッカーの死を悼む《瀧口範子「シリコンバレー通信」》という記事を読んで、米国にはこうした技術者もいるのだということを知った。ちなみに、この記事の”埋め込み”というのは、Embededという言葉をそう訳しただけで、”組み込み”ということだと思う。この記事で、びっくりする事例があった。少し引用する。

 糖尿病患者が用いるインスリン・ポンプへの侵入の方法を明らかにし、体内に投入されるインスリンを致死量にまで上げられるとした。彼が実験に使ったポンプを製造した医療メーカーは、これに基づいて設計を変更。FDA(米食品医薬品局)もまた、医療用デバイスのセキュリティ基準についてのガイドラインを発表した。

 最先端ではこんなことが繰り広げられていることを、少なくとも私は全く知らなかった。メーカーの技術開発は新しい機能開発には金をかけるが、セキュリティのような技術には金をかけない傾向がある。業界のガイドラインにでもしてもらわないと、実装するのは難しい。そのためにも、組み込み系にもホワイトハット・ハッカーが必要だ。

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