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2013年12月16日 (月)

開発の現場から:言葉を深く考える

 開発という業務は、最後には図面であったりコンピュータープログラムのコードであったり数式であったりという形にしてしまうのが目標である。ところが、開発の途中では言葉が飛び交う。この言葉をどう扱うかによって、技術者の質が現れてくるように思う。
 どういう意味かというと、言葉を深く考える技術者と言葉の表面をなぞるだけの技術者の二通りがいるような気がするからである。特に専門用語というのは厄介な言葉である。専門用語を使っていると、わかったような気になる。ところがその専門用語をよく理解せずに使っている場合が多いのである。
 すべての言葉は他人と意思を通じさせるために生まれたものである。なので、どうしても少し一般化されたものになってしまう。開発の現場では、そうした一般化されたものではなく、ある開発ターゲットのために必要な専門用語が必要なのである。つまり、同じ専門用語を使っていてもAという開発現場での専門用語の意味とBと言う開発現場での専門用語の意味とでは詳細な部分で異なる部分があるのである。それを理解せずに言葉を使っている場合がある。
 例えばリアルタイムという言葉がある。そこの部分にはリアルタイム性が必要なのではないですかとか、とかの場面で使う専門用語である。これでわかったような気になる技術者がいる。でもこのリアルタイム性というのは、開発現場によって異なる要求があるはずである。数マイクロ秒なのか数ミリ秒なのか、どこから始まってどこで終わる区間なのか、プリエンプションするのかしないのか、いろいろ違いがあるはずである。そこを議論せずにリアルタイム性というような一般的な言葉でわかったような気になる技術者は、結局は言葉の表面をなぞっているだけの技術者である。リアルタイム性という専門用語になっているところを、そのリアルタイム性とはなんぞやと言うような部分まで深く検討していくという姿勢が技術者にとって必要なのである。
 これは専門用語だけではない。普通の言葉でも、その言葉の意味を深く考えるということが必要になる場合が多々ある。特にソフトウェアというのはモノではなくコンピューターという人工的なものの上で動くものであるだけに、開発において言葉の意味が非常に大切になると言う分野である。だが、学校では技術を教えても言葉を教えてはくれない。
 「その言葉はどういう意味だ」ということを私は開発の現場でよく言う。あなたの使っているその用語と、私がいつも使っている用語の意味とは、発音は同じ用語なのだがその意味するところは同じなのか、ということを確認しなければ次の段階に進めないことがよくあるからである。小説や随筆では同じ言葉の繰り返しを避けたりすることがある。しかし、技術の世界では同じ概念のものは同じ用語で表すべきである。同じ意味で使うべきところをその場の雰囲気によって違う用語にしたり、逆に異なる概念のものを同じ用語で表してしまったりすれば技術開発はできない。そんな当たり前のことを当たり前にやるためには言葉を深く考えるという習慣が必要なのだろう。

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