カテゴリー「開発業務」の記事

2018年5月17日 (木)

AI時代の知財:確かにAIの手段系って明細書で明確にできないなあ

 AIの技術説明記事は、いろいろ出ている。でも、知財に関する記事を読んだのは初めてだ。
 人工知能時代の権利争い (1/2):EnterpriseZine(エンタープライズジン)は、非常に興味深い記事である。
 特許を取得しているネットのある技術が、同じ機能をAIで実装した。特許権者がそのAIで実装した業者を知財違反で訴えたのだが、結局敗訴したという話である。技術の目的は重複していても、その手段系が異なれば、特許を侵害しないのは、当然のことだ。特許は手段系を保護する仕組みだからだ。
 この記事では、今回のケースは、従来手段をAIで置き換えたから侵害性の有無は明確だったが、もともとの特許がAI実装で、これとは異なるAI実装との侵害裁判だったら、どういう判断になったのだろう?という問いがある。
 確かに、これは、難しい話だろう。私は、知財の専門家ではないが、今まで開発者として特許の明細書をさんざん書いてきた経験から言うと、そもそも、AI実装を知財化することが難しい。実施例として、同業他社がその技術を理解できる程度に詳細に記載する必要があるからである。でも、AIというのは、ソフトウエアが自動的に学習する。学習機能を有する部位の中身をどう記載すれば、特許になるのだろうか。
 そもそも、昔はソフトウエアは特許にはならなかった。私は、組み込み技術者なので、ソフトウエアで実装していても、その機能を有する部位を有することが特徴である、ということで、従来例とは異なるという記載方法で、特許を取得してきた。徐々に、ソフトウエアでも特許になる時代になり、ワンックリック特許のように、昔の技術者から見れば、何で特許になるんだというものまで特許になっている。
 だが、この経緯は、あくまで、何が特許になるのか、ということが、時代によって変遷してきた、という歴史である。
 一方、AIの特許については、そもそも技術を記載できるのか、という話である。下手をすると、AIがどう動いているかはわからないが、勝手に学習して、うまく動いている、という技術を、どうやって記載すればいいのだろうか?
 それ以前に、そもそも、ブラックボックスとして動くAIを知財で保護する意味があるのか?技術の侵害性の立証は、かなり難しそうだ。

2018年4月 9日 (月)

IoT機器の機能安全に関する国際標準:マルチベンダー対応になると複雑になる機能安全

 産総研:国際標準化の新規開発提案が承認される-スマートホームにおけるリスク低減に期待-を読んでなるほど、と思った。最初は、日本初の国際標準という興味だけで読んだのだが、
ガス検知システムと空調システムが自動窓制御システムを介して連携している。ガス検知システムがガスを検知し窓を開ける指令を発し、同時に空調システムが窓を閉める指令を発した場合、自動窓制御システムはどちらの指令を優先するかが事前に決定されていない場合、どのような動作をするのかは一般的に不明。このような複数システムの機能安全に関する国際標準を開発する。
という国際標準の目的を読んで、なるほど、と思ったのだ。
 システムが、単一ベンダー機器で構成されれば、この手の話は、ベンダーまかせになる。まともなベンダーなら事前に設計に盛り込んでいる。だが、マルチベンダーとなると、個々の機器だけでは、システム全体として機能安全を提供できないケースがあるということだろう。
 ただ、実際には難しそうだ。提示されているケースでは、指令元の優先順位を規定し、優先順位が高い機器からの指令を実施するということになるのだろう。そして、その優先順位は、このケースでは、ガス検知システムの方が優先順位が高いというのは、一般的に納得のいく優先順位づけになる。この優先順位を、全ての機器カテゴリーごとに決めていく、ということになるのだろうか?まあ、提案の中身を読んでいないので、単なる推測である。もっと、スマートな方法が提案されているのかもしれない。
 標準で検討するのは、①居住者の種類(高齢者、乳児など)を考慮した安全度水準の定義、②上記の安全度水準を用いたリスク評価の手順、とあるので、そもそも私の思ったような手段系の話ではないのかもしれない。原案が公開されたら、見てみたい。

2018年3月 8日 (木)

AIとブラックボックス

 前回、IoT開発におけるブラックボックスの話を書いた。
 今、一番のブラックボックスは、AIであろう。何が起きているのか、外側からは伺いしれない、という感じである。私は、AIも所詮はツールなので、使えるとことには使えばいいと思っている。私の趣味であるストラテジー系のPCゲームで、PC側の思考ソフトにAIを応用すれば、かなり賢くなるだろう。別にブラックボックスでも問題は、ない。所詮はゲームという仮想空間での話だからだ。
 仮想空間でのAIの応用は、どんどん頑張ればいい。でも、それを実空間に適用するとなると、抵抗感がある。自動運転など、その筆頭だ。前にも書いたが、自動運転は当面は、荷物搬送に限るべきだと思う。そうであれば、いざというときは、自分の車を破損してでも、人を守れるからだ。アシモフのロボット3原則を実装したAIが必須だろう。

2018年3月 7日 (水)

ブラックボックスを含むシステムの開発:クラウドの部分は機器側からはブラックボックス

 IoTといっても、昔から同じような考え方はあった。でも、その昔と大きく異なる部分がある。クラウドである。
 私は、ネットワーク応用技術をずっとやってきた。昔から、機器とPC、機器とサーバーという接続はあった。でも、いづれも、自社開発であった。何かトラブルがあれば、プロトコルアナライザを持って、走れば、解決した。
 ところが、クラウドの場合は、クラウドの中に、プロコトルアナライザを当てるわけにはいかない。しかも、インターネットもブラックボックスである。プロトコルアナライザで観測できるのは、IoT機器がルーターと通信する部分だけだ。あとは、テスト用のソフトを山ほど用意し、試行錯誤で原因究明することになる。
 この効率の悪さは、デバッガを使わずにprintfデバックをするのと同じである。原因究明には、事象を観測する使いやすいツールが必要であり、そうしたツールが整備されていくという歴史だった。ところが、ブラックボックスが間に入るという時代になり、ツールが整備されてないという印象がある。
 トラブル対応のスキルで、最も重要なのは、勘が教えてくれる臭い部分を、アナライザやオシロスコープで観測し、解明していく能力だった。そんな、私のスキルは、もはや時代遅れなのだろうか?ブラックボックス時代の、原因究明スキルについて、少し考えてみたい。

2018年2月23日 (金)

そんなにAI人材を欲しがる企業があるとは:でもブームが終わったら用済みにならなければいいが

 優れた大卒AI人材を地道に採用、秘策を見つけたLIXIL | 日経 xTECH(クロステック)とか、3年で600人以上のAI人材を、ダイキン異次元の育成策 | 日経 xTECH(クロステック)とか、パナソニック、2022年までにAI人材1000人 | 日経 xTECH(クロステック)とかの記事を読むと、IT企業以外でもAI人材が必要で、採用・育成のために工夫している姿がうかがえる。
 でも、IT企業以外で、AI人材をそんなに採用・育成して、大丈夫なのだろうかと、人ごとながら心配になる。なぜなら、そういう企業で、AI人材が主流技術であるとは思えないからだ。今のAIが、そのまま根付いてくれればいいのだが、そうでなく、ブームでしかなければ、10年後に主流ではない技術者は、余ってしまう。そういう時に、スキルチェンジできればいいのだが。
 私自身はAIに詳しくないので、いろんな解説記事を読んだ時の印象にしかすぎないのだが、AI技術にも応用系と基礎系があって、基礎系の方はしっかりとした工学的基盤があるが、応用系の方はどうなのだろう?と思う。

2018年2月21日 (水)

紺屋の白袴:情報処理学会の会員管理システム

 情報処理 2018年03月号に、情報処理学会の新会員管理システムの開発についての記事があった。今のシステムの状況も少し触れられているのだが、会員のマイページ機能が、セキュリティの問題でサービスを停止していたり、入会申し込みからの転記ミス(人が介在してるのだろう)があったり、という状況のようだ。
 実態は、そんなものなのだろう、とも思う。最新の機能をうたうITシステムを、そのITシステムベンダーは使っていない、という状況は、よくある話である。

2018年2月 1日 (木)

PoCが終わると誰もいなくなってしまう:社内プロジェクトも同様

 IoTにつきものなのが、PoCだ。これに関して面白い記事があった。
 記者の眼 - デジタル化に疲れた、「お代は見てのお帰り」では辛い:ITproPoCが終わると、誰もいなくなるというのだ。これは、社内プロジェクトでも同様である。
 私は、大企業の研究開発部門にいる。こういう位置づけの部署は、やっているプロジェクトの全てが製品化されることはない。技術開発だけで終わることも多い。しかし、なんとなく、なのだが、PoCとかいう言葉が流行してから、やたらと製品化までこぎつかないプロジェクトが多くなっている気がする。昔は、こんな便利な言葉がなかった。なので、プロジェクトを立ち上げる以上、一応、ビジネス的な検討をした上で、事業部門ではリスクが高いので、研究開発部門で、というスジは通していた。ところが、PoCという言葉で、何となくでプロジェクトを立ち上げることが増えた気がする。だから、PoCで何を検証したいのか、ということも議論せずに何となくプロジェクトが始まり、もともとの目標があいまいだったので、得られる成果などあるはずもなく、なんとなくプロジェクトが終わる。こんなプロジェクトにいたくはないので、終わったとたんに、みんな逃げ出すのである。

2017年9月20日 (水)

3現主義は開発でも重要

 「現場」「現物」「現実」の3現主義の重要性は、主として製造現場で語られる言葉である。メーカー勤務の技術者なら、開発でも聞いたことがあるはずである。
 「3現主義」を甘く見ていないか? - 日経テクノロジーオンラインは、深く共感する話だ。私は、製造現場はあまり知らない(開発者として製造の立ち上げに協力したことがあるくらいなので)。でも、開発においても、同じことがいえる。開発という業務は、開発の現場とは異なるところで役に立つモノやサービスを創造する行為である。そのためには、実際に、そのモノやサービスが使われる現場を知らなけらばならない。開発者は、どうしても開発者が集まった閉じられた空間で、長時間働くことが多い。3現主義を本当に実践するのは難しい。なので、開発者の全員とは言わない。場合によっては、1人だけでもいいから、必ず現場の勉強をさせる必要がある。

2017年9月19日 (火)

AI専用チップはFPGAが有利?:IntelがAltera社を買ったのはこのためか

 ディープラーニングは、学習はCPUパワーが必要だが、その学習結果を使った推論はそれほどでもない、というのが定説である。実際、推論を組み込み機器に入れる取り組みも多い。ところが、実際には、莫大なユーザーがいるクラウドサービスでは、推論もCPUパワーが必要らしい。サーバー・プロセッサ バトルロイヤル2017 - GoogleのAI専用チップに挑むMS、奥の手は「謎の精度」:ITproから少し引用する。

 Googleは2013年に「スマートフォンのユーザーが1日当たり3分間、音声認識を利用する」というシナリオに基づいて、推論に必要となるITインフラストラクチャーの規模を見積もっている。その結果、CPUだけで全ての音声認識の推論を実行しようとすると、当時のGoogleが保有する全データセンターの2~3倍に相当する処理能力が必要になることが分かった。

 なるほどね、量が質に転換するという典型例である。Googleは、これを解決するために、専用チップを開発した。マイクロソフトは、同じ専用チップでも、FPGAで実装するという手段を提供した。少し引用する。

 FPGAを使うソフトDPUのメリットとして、柔軟性が高いことを挙げる。「機械学習の進化はとても早いが、FPGAであれば論理回路を後から変更することで、新しい手法に対応できる」(Chung氏)という主張だ。Microsoftが独自に浮動小数点の精度を定義し、それを実ハードウエアで検証できたのも、FPGAならではのメリットだ。論理回路をハードウエアとして実装すると、新しい手法を考案してもチップが完成する1~2年後までハードウエアでは検証できない

 これは納得である。技術が確立したら、専用チップをASICとして開発する方がいい。同じゲート規模でも、FPGAよりも安いし、消費電力上も有利だろうからだ。一方で、ディープラーニングは、発展途上の技術だという側面がある。その場合、すぐに回路を変更できるFPGAの方が有利だ。インテルは、Xilinxと並ぶ大手FPGA会社のAltera社を買った。これは、マイクロソフトのような動きを見越してのことなのだろう。AI時代には、新たなインテルとマイクロソフトの連携がはじまるのだろうか。

2017年7月14日 (金)

50歳台のSEを集めた新会社

 50歳台の社員の活用という話題は、他人ごとではない。自分が、その世代だからだ.。
 どうする?50代SE - “55歳ショック”の緩和を狙う富士通、50代SEを集めて新会社:ITproによると、富士通の役職定年制度では、給与が25%ダウンの75%になるという。さすがに、これは、やる気がなくなるだろう。ということで、SEの子会社を作り、50歳台のSEをそこへ異動させて活躍させるということをやっているらしい。そうすることで、給料のダウン率を少しでも下げられるのだという。
 SEという仕事は、体力のいる仕事だ。だから、50歳台のSEは、戦力外というのが、会社の論理なのだろう。でも、今の世の中、50歳台になると戦力外になるという職業とはなんなのだろう?
 昔、仕事で付き合った富士通のSEが、月100時間以上の時間外労働や、夜の11時から始まる開発会議などを、自慢げに話していたのを覚えている。50歳どころか、40歳になったら、勤まらない会社だなあ、と思ったものだ。まずは、体力勝負のデスマーチの開発を、定時退社できる開発の仕組みにすることが重要な気がする。

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